大事なことはみんな元リクから教わった

昔、ギターをやっているときにいくつかのバンドに参加したりしたんだけど、そのときバンドには大きくわけて二つのタイプがあった。ひとつは、リーダーの明確なビジョンのもと、それを実現できるメンバーを集めるというタイプ。もうひとつは、とりあえず面白そうなメンバーを集めて、彼らの得意なことをやらせたら何か生み出されるんじゃないかという考えのタイプ。前者の方がプロフェッショナルっぽいものの、やっぱり好きなのは後の方で、リーダーも含めてメンバー全員が予想がつかないすごい音楽がどんどん生まれていくのは本当に楽しかった。
 
最近、会社組織でも同じように感じることが多くなった。明確な事業のビジョンがあり、それを実現するための組織をイメージしてイメージに合う人を入れる方針の会社と、とりあえず優秀な人をたくさん集めたらビジネスモデルなんか後からどうにかなると考える会社。もちろん僕はやっぱりとりあえず集める方が好きなわけで、Googleとか最近の勢いのある会社は、はたから見るかぎりそっちのタイプに見える。
 
Googleはやっぱりすごいんだけど、日本にだって少ないながらそういったすごい会社は昔からあった。僕のまわりでは、リクルートライブドアがそんな感じで、とにかく優秀な人を集めて何がしたいんだかわからないけどなんだか他社には真似できない勢いを持っていたように思う。
 
リクルート出身者は「元リク」なんて呼ばれ方をしてベンチャー業界でも常に目立っている。僕の以前いたベンチャー企業も元リクばっかりの会社で特別な文化を持っていた。ただでさえモチベーションの高い社員に大きな裁量を与え、また社内表彰制度などきめ細かなインセンティブを用意してさらにモチベーションを上げることで組織としてどんどん強くなっていく。客先との打ち合わせにのぞむときは、ありとあらゆるパターンを想定して時間をかけて緻密な準備をしたり、どんなに逆境になっても、必死で頭をひねって生き延びる策を講じたり。営業職的なコミュニケーション能力や人材の獲得や育成に対する意識が高く、技術者でも事務職でもそういった能力にすぐれた人が多かったように思う。まあ、お酒の飲み方も豪快で昭和のモーレツ社員みたいな雰囲気もあったけれど。
 
それでもやっぱり今のようにちょっとやそっとの技術者では生き延びることが難しい状況に直面したりすると、当時の強い生命力を持った人たちのやり方を思い出してサバイバルしていくことを考えたりする。