ベンチャー企業で社員として働くこと

つまり、GIGAZINEで働きたかったわけではなく、どこでも金さえもらえれば良かった、そういう人材を私は雇ってしまったのです。これが大きな間違いでした。


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これまで何社かベンチャー企業で働いたことがあるので、GIGAZINEのこの記事はあーあるあるという感じ。決して特殊な失敗例じゃなくて多くのベンチャーがこういう状態だと思う。なので今回は経営者ではなく社員としてベンチャー企業で働くことについてちょっと書いてみます。
 

ベンチャーブラック企業との違い

ベンチャー企業は労働条件だけみるとブラック企業と大差ないところが多いと思う。ただ違いとしては、ベンチャーは環境を改善する意思があり、今はその途中ということ。ベンチャー企業が何よりも最重要視すべきことはつぶれないことで、そもそもこれができないことが多い。そしてつぶれない程度に舵をとりながら徐々にまともな会社にしていく。株式公開の条件って簡単にいうと「まともな会社になったかどうか」ってことでしょ。急激にまともな会社にしようとしておかしくなってしまった会社もいくつか見てきた。
 

■まともじゃない会社に社員として入るメリット

そんなわけでベンチャー企業の大半はまともじゃない会社で待遇が良いところはあんまりないんだけど、それでも大企業の平均的な社員以上の高スキルな人材を必要としている。なのでベンチャーは大企業にはないメリットを提供する。
 ・他にないユニークな仕事ができる
 ・起業・経営ノウハウを学べる
 ・全方位的なスキルアップが望める
 ・異常なくらい優秀な人たちと多数知り合うことができる
など。
しかし、なんといっても一番なのは会社が大きく成長したときにかけがえのない成功体験と大きな収入が望めることだと思う。
そう考えるとストックオプションという制度はつくづくよくできてる。ベンチャー企業がまともに成長する確率なんてものすごく低くて、ストックオプションも宝くじに毛が生えたようなものなんだけど、このくじは自分が働けば働くほど当たる確率が高くなる。スキルアップすればするほど確率が高くなる。効率よく売り上げを上げれば上げるほど確率が高くなる。だから、経営者と社員が夢とか志とかそんなあいまいなものを共有していなくても、信頼関係がうまく築けてなくても、社員は利己的に自分の利益を追求すれば自動的に経営者の望む働きをしてくれることになる。
 
なので給料の額+こういった経験、可能性などを総合的に考えて魅力的と感じたらベンチャーに入ればいいし、見合わないと思ったら絶対に入るべきじゃない。あと、たまに後一歩で急成長できそうな状態の会社が、キーマンとしてぴったりはまるスキルを持っている人を高待遇で迎えたりもするので、そういう美味しい話は見逃さないように。
 

■まともじゃない会社で自分がつぶれないために

やっぱり経営者と社員が同じ志というのは難しいわけで、社員としては期間限定の会社成長プロジェクトに力を貸しているくらいのつもりでいた方がいいと思う。もちろん仕事には全力で取り組んだ方が面白いのでそうすべきなのだけど、ブラック企業まがいの環境で自分がつぶれてしまってはしょうがない。社員は何かあっても負債を負わないとう点で有利だということを意識して、危ない臭いを感じたらとっとと離脱するべき。履歴書が汚れるとか考えずにより良い環境へ軽いフットワークで移っていく。そのために腕一本で渡り合っていけるだけのスキルや経験は最大限の努力で身につけた方がいい。
 

■仕事を拒否する社員の心理

ところで元記事にあった、社員に「お願い」をしても拒否されるというのもよくあるパターン。GIGAZINEがどうかはわからないけど、これは社員をあまり褒めずに減点評価する文化の会社にありがち。仕事を拒否することが自分の評価を下げるのは分かっているけど、成功確率が低い仕事を引き受けて失敗したときにそれ以上のマイナス評価を受ける。そういったことが予測できるとき、社員はその仕事を拒否するようになる。
「責任は俺がとるからどんどんやれ」という態度で、チャレンジして失敗した社員を、何もしなかった社員よりも高く評価するようにすると仕事を拒否するようなことはなくなると思う。まあ、とんでもなく低スキルの人が入ってくることもこれまたベンチャーにはよくあったりするけどね。