KORG MS-20で音作るよー その1

近頃の若いもんはアナログシンセの音作りの基本を知らなくてけしからん、と思ったりします。まあそれも無理もないことで、昔はYAMAHA CS01やRoland SH-101のような入門者用のシンプルなシンセがありましたが、最近のシンセはパラメータが複雑で、多彩な音が作れる反面使いこなすには難しいものが多い気がします。
 
そんなわけでまもなく発売されるMS-20 mini。シンプルなわりに音作りの幅が広くとてもバランスの良いシンセです。とはいえ、これもでたらめに触るだけではなかなか使いこなせないと思うので簡単に解説してみます。(画像と音はソフトシンセ版のLegacy Collectionを元にしています)
 
■基本設定
とりあえず基本の設定。パッチはなにもせず、フィルターも全開です。最初はここから2個のオシレーター(VCO)とエンベロープ・ジェネレーター(EG)だけを使ってみるとわかりやすいと思います。EGのうち、HOLD TIMEはキーボードを短く叩いたときでも一定時間押しているような効果を得るパラメータですが、慣れないうちはこれを使わずにADSRだけでも大丈夫です。

こんな感じの味気ない音が出ます。
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■VCO + EG
上の基本設定からVCOとEGの部分だけを使ってたとえばこんな感じの音を作れます。アナログシンセらしい太い低音でノコギリ波を鳴らすとそれだけで存在感がありますね。VCO2のピッチをわずかにずらして広がりを出しています。

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次に低めの矩形波と2オクターブ上の矩形波を組み合わせたリード音。少しポルタメントをかけると良い感じです。ミニモーグが登場した頃、それまでの楽器の何にも似ておらず、かつどこかで聞いたような親しみのあるこの手の音色が流行りました。

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■フィルター
次にフィルターを使ってみます。MS-20にはHPFとLPFが搭載されていますが、シンセらしい音を手っ取り早く作るにはHPFは全開にしたままでLPFを使いこなすのが良いと思います。PEAKはいわゆるレゾナンスなので、あなたの変態度に応じて上げてください。フィルターのエンベロープは音量と同じくEG2で制御されます。

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HPFとLPFの両方が搭載されていると周波数特性的にピークを2カ所作ることができて、これは人の声の母音の特徴に似ています。というわけでちょっと人の声のような音を作ったりもできます。

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LFO
次はゆっくりした周期のモジュレーションをピッチやフィルターにかけるLFOです。MS-20的にはMODULATION GENERATORと表記しています。LFOのWAVE FORMノブはちょっとわかりづらいですが、真ん中が三角波、左右に回すとノコギリ波に近づきます。矩形波にしたいときは簡単なパッチが必要です。LPFにLFOをかけるとこんな感じになります。

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■EG1の使い方
MS-20には2系統のEGが搭載されています。実は音量カーブやフィルターなどメインで使うのはEG2の方で、EG1はデフォルトでは音程変化をコントロールするため、わりと飛び道具的な使い方になります。

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■リングモジュレーター
VCO2をRINGにするとVCO1をVCO2でリング変調します。難しいことは考えずに変な音を出したいときに使います。VCO2のPITCHをグリグリいじるとみんな大好きな変態的な音が出ますね。

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そんなわけで次回パッチ編に続きます。
 
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KORG iMS-20公式パーフェクトガイド

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