良い残業、悪い残業

デスマは私も経験しました。月の仕事時間が400時間を超えたことがあります。2ヶ月近く。それこそ泥のように働いた。だって誰もやってくれないし、既に何万人というクライアントの顧客に対してこの日から使えますってコミットしちゃったので、当然納期は変わらなかった。仕事は界王拳発動で増えているというのにね。

でも、今振り返るとそれが一番思い出に残る良い仕事だった。

泥の業界でも仕事は宝石なこともあるんだよ - GoTheDistance

生きて生還できればデスマも良い経験、というのはひとつの真理だと思う。それが泥かどうかは残業時間の多寡じゃ計れないんだよね。


じゃあどういう残業が人を成長させ、あるいは人を潰すのか。
良い残業というのは、頑張った分だけ評価され、プログラムがどんどん出来上がっていく達成感があり、結果的に本人のモチベーションが高く保てるようなタイプの仕事。こんな開発チームならきつい状況でもけっこうなんとかなったりする。たとえば文化祭前夜のような、クラス一丸となって異常なテンションの中、ひとつの目標に向かって深夜まで没頭する感じ。あんな気持ちでカットオーバーを迎えられればそれは良い経験になるよね。


一方で実業務ではそうではない場合もある。
今まであったのは、会社間の政治的なトラブルに起因する無茶なスケジュールで未来がまったく見えない状態とか、上流SIからパワハラまがいのプレッシャーを受けて担当者が倒れたら、そのことをさらに後任の担当者が責められるような信頼関係を築けない案件とか。限界まで頑張ってもやっぱりどうにもならなくて上司に助けを求めたら、逆に上司に責められたりとかね。そういったエンジニア個人が頑張っても報われない状態はつらい。


あと危険なパターンに「これがリリースできたらようやく楽になるぞ」という思い込みがある。リリース直前に自分の限界以上に無理をして、来週は有給でもとってしっかり体を休めよう、とか思っていると、そんな状態で仕上がったプログラムだから本番稼動させるとトラブルが続出したりして、結局リリース前と変わらないかそれ以上に忙しい状況がいつまでも続いたりする。これは本当につらい。ホラー映画にありがちな、敵は去ったと安心しているところに襲われるパターンに似てる。


まあ、最近はPMBOKも普及してでたらめなマネージメントは少なくなってきているし、慢性的な長時間残業もなくなってきた気がするよ、というのはフォローになってるかな。


それに、どんなに仕事がきつい状況でも、同僚のちょっと気になっている女の子から「XXさん、最近すごく頑張ってるけど体に気をつけてね」なんて言われたら、それだけでもう一気に報われたりするから一概には言えなかったりとかね。