加算合成シンセで簡易音声合成

加算合成方式のシンセサイザーは音作りが難しくいとよく言われます。たしかにアナログシンセやFM方式に比べると適当に操作して面白い音が生まれる可能性は少ないように思います。ここ数日、加算合成シンセをいろいろいじってわかってきたので音声合成的なことをやって音の作り方をさぐってみたいと思います。
 
まずはどこのご家庭にもある加算合成シンセをご用意ください。
今回はImage Line社のMorphineを使います。

Morphineでググるときは別の意味で深みにはまる危険なサイトがいっぱい出てくるので注意してください
 
加算合成シンセでは音を波形ではなく倍音の分布(スペクトル)として表現します。波形をフーリエ変換すると倍音構成が求められますが、たぶんそんなことを考えて音作りする人はいないとは思います。それでも、おぼえておくと頭が良さそうに見られるのでちょっとおすすめです。
 
 
上のスクリーンショット中央の棒グラフ状の部分が倍音構成を示すブレイクポイントエディターです。ここをマウスで操作して好みの音を作っていきます。倍音を重ねるコントローラーということでオルガンのドローバーと役割はまったく同じです。
 
自分の好きな倍音構成がわからないという人は、どこのご家庭にもあるスペクトルアナライザーをお使いください。

 
まあ、スペアナ見ながらちまちま倍音いじらなくてもMorphineのRESYNTHESIS機能を使えば既存のwavファイルから倍音構成とその時間変化を自動的に解析してくれるんですが、それをやるとこのエントリーの意味がまったくなくなってしまうので今回は使いません。
 
さて、本題の音声合成です。
母音「アイウエオ」は倍音構成が違うため聞いたときにそれぞれの音を識別できます。周波数分布のグラフにしたとき表れる特徴的な倍音の山をフォルマントと言ったりします。こちらの本にあったアイウエオそれぞれのスペクトル包絡をまねてブレイクポイントエディターにマウスで描画していきます。
 
 
ア 
イ 
ウ 
エ 
オ 
 
次にスペクトラムエディタで時間軸に沿ってそれぞれのブレイクポイント(倍音構成)がどのように変化するかを設定します。スペクトラムエディタは、横軸が時間、縦軸が音量になっているので一種のエンベロープジェネレーターとも言えます。

 
できた音がこんな感じです。
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母音でアウアウアーと言わせるだけでは面白くないので次は子音を加えて見たいと思います。Morphineには子音のような不規則な倍音を付加する機能としてMORPH/MIX→NOISE SMPがありますが、それっぽいプリセット音がなかったので別の方法を使ってみます。
たぶん軽いスネアドラムの音を同時に鳴らしたら"T"の音になるんじゃないかと思ってやってみました。最初に母音の「e」、次に子音の「T」、最後に同時に鳴らしています。
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うーん、微妙ですね。
 
今回の手順と、曲に合わせて歌っぽくしてみた動画を作りました。こちらもご覧ください。